ある状況でいくつかの音が存在している場合、その複数の音の中の特定の音だけに選択的に注意を向けると、その特定の音だけをはっきりと明瞭に聞き取ることができます。
こうした現象はカクテルパーティー効果と呼ばれます。
例えば、教室内でたくさんの人が大きな声でしゃべっていても、自分が話している相手の声だけがはっきりと聞こえ、他の人の話し声は背景のように感じられます。
こういったようなことは日常的によく経験されるでしょう。
カクテルパーティー効果は、聞き取りたい音が聞こえてくる位置や音の大きさ、音の高さなどが周囲の音と異なる場合に生じやすくなります。
また、カクテルパーティー効果と関連する実験として両耳分離聴の実験があります。
この実験では、左右両方の耳に異なる音声を同時に流し、片方の耳から聞こえてくる音声だけを追唱(聞こえてくる語をそのまま口に出すこと)させることで注意を向けさせます。
すると、追唱をせず、注意を向けていなかった方の耳から聞こえていた音声の内容についてはほとんど報告がみられませんでした。
しかし、聞いている人自身と非常に関係のある内容が音声に含まれていた場合には、その内容の報告が確認されたことから、注意を向けていない情報に関しても意味的な処理がなされている可能性が示唆されました。
例えば、自分がだれかと話している時に、他のグループの人が自分の名前を挙げるとします。
すると、それまでは全くそのグループの会話には意識が向いていなかったのにも関わらず、自分の名前だけははっきりと聞こえた、もしくは呼ばれた気がしたといったようなことが起こるでしょう。
みなさんもこうしたカクテルパーティー効果は経験したことが多いのではないでしょうか。
こうした身近な現象も心理学で研究されているのは非常に面白いですよね。
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・両耳分離聴