学習性無力感はアメリカの心理学者であるセリグマンによって提唱されました。
彼が学習性無力感を発見することになった実験はとても有名です。
セリグマンは、犬を用いて実験を行いました。
彼は、犬を実験装置に乗せた後で動けないようにし、そして繰り返し電気ショックを与えました。
もし動ける状態であれば犬は電気ショックが与えられた途端に逃げ出しますが、動けないので逃げることができません。
そのような逃げられない状態で電気ショックが繰り返し与えられた後で、今度は犬を動ける状態にして電気ショックを与えることにします。
そうすると、犬は逃げることができる状態にあるにも関わらず、電気ショックが与えられても逃げようとはせず、その場でじっとするようになりました。
この状態は「犬が学習性無力感を学習した」ために生じたのだとセリグマンは考えました。
つまり、苦痛(電気ショック)から逃れようとして行動しても状況が変わらないという経験を繰り返したことによって、行動をしても無駄だという無力感が学習されたのだということです。
この学習性無力感は人間においても当てはまることがのちの研究で明らかにされました。
例えば、ある実験では大音量で不快音が鳴る部屋に参加者が通されました。
統制群では正しい組み合わせのボタンを押すと音が止まるようになっていましたが、
実験群ではどのような組み合わせでボタンを押しても音が止まることはありませんでした。
このような条件下で回避学習を行わせると、やはり実験群の方が成績が悪くなった問うことが明らかになっています。
自分の行動と結果の間になんの関連もないのだという経験を繰り返すことによって、
自分の力では状況をコントロールすることができないということを学習し、
そうした状態がこれからも続いていくのではないかと予測することで学習性無力感が生じるというのです。
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